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2015-06-26
原宗嗣先生(壱岐市民病院)が筆頭著者の論文「Disturbance of cardiac gene expression and cardiomyocyte structure predisposes MecP2-null mice to arrhythmias」が、Scientific Reports(IF=5.078)にアクセプトされました。
レット症候群(RTT)は、MeCP2遺伝子変異を主因とするレット症候群(RTT)は女児に発症する進行性神経疾患です。しかし、一定の割合で、不整脈を呈することが報告されており、突然の原因不明死との関係など、その発症機構の解明や治療法の確立が切望されています。これまでRTT病態は中枢神経障害に関する研究が主で、実際、RTTモデル(Mecp2欠損)マウスでも、神経系の異常を主な原因としたQT延長や不整脈が認められることが報告されています。今回、我々は、RTTモデル胚性幹(ES)細胞研究を足がかりに、RTTの心臓異常に着目した解析を進めてきました。その結果、MeCP2遺伝子は、ES細胞由来の心筋幹細胞の発生やその後の分化に関わることを見出しました。また、RTTモデルマウスでは、明らかな不整脈は認められなかったものの、心電図パラメーターが変化し、心機能や構造に関わる遺伝子の発現や心筋細胞の超微細構造に異常が認められることを見出しました。以上の結果は、RTTで認められる臨床症状が必ずしも神経系の異常が原因で引き起こされるわけではないことを示唆する重要な知見で、今後のRTT病態の理解に役立つものと考えられます。